かもめ93号
トップベージへ戻る
  新型インフルエンザ
島  武 三
H21.1.1
 新型インフルエンザ                 島 武三    2008.12.27

世界的大流行(パンデミック)が懸念されている「新型インフルエンザ」。
「もしも」ではなく「いつ」の段階に入っていますので、それぞれが対策を急ぐ必要があります。
新型インフルエンザは、鳥インフルエンザウイルスが変異し、人から人に感染し広がると考えられています。
人には免疫がなく、感染が急拡大していきます。政府は日本で流行すれば人口の25%が感染すると予測し、厚生労働省は死者最大64万人の被害と想定していますが、その想定は甘く 200万人との説もあります。
感染すると発症前からウイルスを体外に放出するため、新型インフルエンザが海外で発生した場合、一週間くらいで日本国内でも感染が始まるとみられています。
新型インフルエンザワクチンは、発生後に製造しますが、全国民分を製造するのに1年半かかるとされています。
最初にどこかで発生してからニュースで知らされるまでには相当の時間がかかるように思います。
その間、感染は爆発的に広がっていくと思われます。
わが家では、1か月分のコメ備蓄と、予防のためのマスク(N95マスク、サージカルマスク)を注文しましたが、新型インフルエンザ対策用品は、品薄になってきているようでまだ届いておりません。
「もしも」ではなく「いつ」の段階に入っていると考え、対策を急いでください。

現在、まだ新型インフルエンザは発生していませんが、近年、東南アジアを中心に発生している鳥インフルエンザ「H5N1型」が変異して、人から人へ感染する新しいタイプのウイルスになった時、毒性の強い「新型インフルエンザ」が発生する可能性が高いとされています。

ひとたび新型インフルエンザウイルスが発生すると、この新しいウイルスに対し、免疫を持たないほとんどの人が感染し、世界的流行を起こし、社会に大きな混乱をもたらすものと心配されています。

この新しい新型インフルエンザが発生した場合、厚生労働省の試算で、ワクチンやタミフルを使用しない悪条件下では、日本国民の25%、3200万人が発症し、死亡者は17〜64万人とされています。

新型インフルエンザに対して誰も免疫を持っていませんので、ウイルスに接すると、誰もが容易に罹病してしまいます。
新型インフルエンザは、発症前からウイルスを放出するため、自覚症状のないまま感染を拡大してしまいます。
ウイルスが飛行機に乗って短期間で世界中に広まると予測されています。

新型インフルエンザが発生したら、海外の出来事であっても、1〜2週間程の短期間で日本国内に流入する可能性があると考え、マスク・手洗い・咳エチケットなどの予防を開始しておく必要があります。

毎年、流行する季節性のインフルエンザの感染経路は、主に@飛沫感染、A接触感染 と考えられます。
新型インフルエンザの感染ルートも、同様と想定されます。

@飛沫感染は、感染者のクシャミなどから飛び散った鼻水などの分泌物が、免疫を持たない人の
  口・鼻・目 などの粘膜に直接付着し、感染します。

A接触感染は、感染者が鼻水や咳などでウイルスが付着した手で、ドアノブなどに触れ、その部分
  を他の人  が触れ、その手で口・鼻・目などを触り、ウイルスが媒介され、感染します。

発症前から、ウイルスを放出するため、事前に防ぐことは、極めて難しくなります。

感染の拡散を避けるには、外出・出勤をしないことです。
自覚症状がある場合は、医療機関に直接いかず、まず保健所へ連絡して支持を仰ぐことになります。
感染して症状が出ている場合は、周囲への感染を防ぐため、感染者本人にもサージカルマスクを着用させます。

予防方法は
@手洗い、うがいをする。手洗いは石鹸で丁寧に洗う。
A咳・クシャミのエチケットを徹底する。
  咳やクシャミが出る時は、他人から顔を背け、1〜2m以上離れ、ハンカチ・ティッシュ・二の腕で、
  鼻と口を覆う。咳やクシャミの飛沫は1〜2m以上飛び散る。
B新型インフルエンザが発生したら、人の多く集まる場所へは行かない。
Cウイルスが口・鼻・目などの粘膜に付着すると感染するので、マスクを着用する。


下記のサイトで新型インフルエンザの関連情報が得られます。

・国立感染症研究所 感染症情報センター
  http://idsc.nih.go.jp/index-j.html
・東京都 新型インフルエンザ対策関連情報
  http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kansen/infuruenza/
・明石市役所 新型インフルエンザ出現の危機
  http://www.city.akashi.hyogo.jp/soumu/bousai_ka/h_safety/influ.html
・外岡立人氏(個人サイト) 鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集
  http://homepage3.nifty.com/sank/index.html

参考に、個人でできる対策は、厚生労働省のホームページに掲載されているものを以下に引用しておきます。

厚生労働省「新型インフルエンザ」個人でできる対策
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/11.html

1 新型インフルエンザとは

○新型インフルエンザウイルスとは、動物、特に鳥類のインフルエンザウイルスがヒトに感染し、
  ヒトからヒトへと効率よく感染できるように変化したもので、このウイルスが感染して起こる疾患
  が新型インフルエンザです。

○このような例の一つとしてスペイン風邪(スペイン・インフルエンザ)(1918年-1919年)があります。
  世界では人口の25〜30%が罹患し、4000万人が死亡したと推計されており、日本では2300万人
  が感染し、39万人が死亡したと記録されています。その記録から、大流行が起こると多くの人が
  感染し、医療機関は患者であふれかえり、国民生活や社会機能の維持に必要な人材の確保が
  困難になるなど、様々な問題が生じることが考えられています。

2 新型インフルエンザ発生前に準備すべきこと

(1)うがい・手洗い・マスクの励行

新型インフルエンザに対する対策は通常のインフルエンザ対策の延長線上にあります。熱、咳、くしゃみ等の症状のある人には必ずマスクを着けてもらうこと、このような人と接する時にはマスクを着けることが大変重要です。咳やくしゃみをおさえた手、鼻をかんだ手は直ちに洗うことも必要です。これらが、インフルエンザ予防のために必要な「咳エチケット」です。外出後の手洗いを日常的に行い、流行地への渡航、人混みや繁華街への外出を控えることも重要です。

「咳エチケット」

*咳・くしゃみの際はティッシュなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけ1m以上離れる。

*呼吸器系分泌物(鼻汁・痰など)を含んだティッシュをすぐに蓋付きの廃棄物箱に捨てられる環境を整える。

*咳をしている人にマスクの着用を促す。

マスクはより透過性の低いもの、例えば、医療現場にて使用される「サージカルマスク」が望ましいですが、通常の市販マスクでも咳をしている人のウイルスの拡散をある程度は防ぐ効果があると考えられています。
一方、健常人がマスクを着用しているからといって、ウイルスの吸入を完全に予防できるわけではないことに注意が必要です。

*マスクの装着は説明書をよく読んで、正しく着用する。

(2)食料・水・日用品の確保・備蓄

パンデミックは日本だけのものではなく、海外でも同時に発生しますので、海外で大流行すれば、輸入が減少したり停止することによって、種々の生活必需品も不足して、手に入らなくなることがあります。
パンデミックになると、このような生活に欠かせない活動にも影響が出ることも想定されますし、感染を防ぐためには不要不急の外出をしないことが原則であることから、災害時と同様に外出しなくても良いだけの最低限(2週間程度)の食糧・日用品等は準備しておくのがよいでしょう。

(3)発熱時の対応の相談

本人、家族が感染し、一定期間の自宅待機になった場合、こどもの学校が長期に休みになった場合、また勤務状況の変更が余儀なくされた場合などで、どのように家庭内で役割を分担し家庭を維持していくか、などについて、各家庭で計画を立てておくことが勧められます。また、突然仕事を休まねばならなくなった時の連絡についても勤務先と相談しておくべきでしょう。

3 新型インフルエンザ発生後に取るべき対応

(1)情報収集

情報には、(1)国・地方自治体の提供する情報、(2)企業が提供する情報(商業ベースのものとそうでないものがある)、(3)マスコミが提供する情報、(4)噂・デマ情報などがあり、媒体も広報・新聞・雑誌・テレビ・インターネットなど様々です。
しかし、中には情報の信憑性・根拠に関して問題のあるものもあり、特に噂情報には虚偽のものが含まれることが多く、こうした情報を過度に信用してパニックが起こらないように正確な情報を収集し、冷静に対応することが重要です。

(2)発症者の家庭における留意事項

発熱・咳・全身痛など通常のインフルエンザと思われる症状がある場合、事前連絡なく近医を受診すると、万が一新型インフルエンザであった場合、待合室等で他の患者さんに感染させてしまう「二次感染」のおそれがあります。その場合はまず、保健所等(発熱相談センター)に連絡し、都道府県等が指定する医療機関など(発熱外来など)を受診して下さい。都道府県や、市町村、保健所から、情報が提供されますので、随時チェックをするようにしてください。

*発熱相談センター:

発熱を有する患者さんからの相談を受ける施設。都道府県・保健所を設置する市又は特別区が
保健所等に設置する。

*発熱外来:

発熱を訴える患者さんに対し、直接通常の外来を受診するのではなく、他の症状の患者さんから
隔離した場所で外来診察を行うシステム。新型インフルエンザ感染・発症を否定されれば通常の
外来での診察になり、新型インフルエンザであれば感染症指定医療機関等に入院措置等が取ら
れる。

特に自分自身が発熱・咳・のどの痛みなどの「かぜ症状」を呈した場合には、その症状が新型か否かにかかわらず、インフルエンザによるものか否か、またインフルエンザであってもどの型であるかは、検査をしなければ分かりません。したがって、上に挙げたような医療機関を受診する必要がありますが、医療機関を受診するときはもちろん、外出時、家庭内でも、咳をする際には「咳エチケット」に十分注意をして、周囲に感染させないように心がけることも必要となります。

(3)医療の確保への協力

パンデミック時には一時的に大量の医療に対する需要が起こるため、医師を始めとする医療従事者や薬剤・医療資材の供給体制等、医療を支えるインフラが極端に脆弱になることが予想されます。
また、パンデミック時であっても、生命に関わる救急の患者さんや人工透析などの継続的な治療が必要な患者さんもおられます。
したがって、不要不急の医療機関受診や軽症での救急車要請は控えて、通常の医療の確保に協力することが重要です。

(4)不要不急の外出の差し控え

感染拡大を極力回避するために、食料等の生活必需品の買出しや独居家庭への見回りなどのやむをえない外出以外の不要不急の外出は極力差し控えることが望まれます。(地域によって事情が異なることが多いため、市町村が主導となり、各コミュニティ等で自主的に決定する)

4 個人での備蓄物品の例

○食糧(長期保存可能なもの)の例

主食類
   米
   乾麺類(そば、ソーメン、うどん等)
   切り餅
   コーンフレーク・シリアル類
   乾パン
   各種調味料
その他
   レトルト・フリーズドライ食品
   冷凍食品(家庭での保存温度ならびに停電に注意)
   インスタントラーメン
   缶詰
   菓子類
   ミネラルウォーター
   ペットボトルや缶入りの飲料

○日用品・医療品の例

常備品
   常備薬(胃薬、痛み止め、その他持病の処方薬)
   絆創膏(大・小)
   ガーゼ・コットン(滅菌のものとそうでないもの)
   解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど) 薬の成分によっては、インフルエンザ脳症を
   助長する可能性があります。購入時に医師・薬剤師に確認してください。
対インフルエンザ対策の物品
   マスク
   ゴム手袋(破れにくいもの)
   水枕・氷枕(頭や腋下の冷却用)
   漂白剤(次亜塩素酸:消毒効果がある)
   消毒用アルコール
通常の災害時のための物品(あると便利なもの)
   懐中電灯
   乾電池
   携帯電話充電キット
   ラジオ・携帯テレビ
   カセットコンロ・ガスボンベ
   トイレットペーパー
   ティッシュペーパー
   キッチン用ラップ
   アルミホイル
   洗剤(衣類・食器等)・石けん
   シャンプー・リンス
   保湿ティッシュ(アルコールのあるものとないもの)
   生理用品(女性用)
   ビニール袋(汚染されたごみの密封に利用)

厚生労働省「新型インフルエンザ対策関連情報」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/